第14章 クロゼット 第15章はこちら
三人はビルの裏側に回ることにした。裏側は堅いシャッターが閉まっていて容易には開きそうもない。すると新橋側から青い大きなバンが近づいてきて静かに止まった。 フレイザー達はとっさにビルの物陰に隠れる。 車からは2人の大柄な男が出てきた。年齢は30歳ぐらいで二人とも筋肉質で鍛えているような体つきをしている。男たちは車の後ろからダンボールの箱を2つほど出すと抱えてシャッターに近づいていった。男の一人がシャッターを開けると、二人は談笑しながら中へ入っていった。 フレイザー達はそっと息を潜めて様子を伺う。 5分ぐらいたったがまだシャッターは開いたままで、男たちは出てくる気配が無い。 しびれを切らしたレイがフレイザーに目配せをした。 R:「Hey! Follow them.なあ、彼らに続いて中に入ろうぜ。」 F:「I'm not sure I should do this. It's illegal.そんなことできないよ。不法侵入だ。」 R:「I'm just trying to see how it's going.ちょっと中を覗きに行くだけだから。」 と言うとレイは腰を低くして忍び足で大きく開いたシャッターに近づいていった。仕方なくフレイザーと佐都子も続く。 レイは緑色の瞳をきらっと光らせ中を覗いた。薄暗い屋内は倉庫のようで、ダンボール箱がいくつも積まれている。 R:「come on」とレイが言うとそのまま3人と一匹は中に入ってしまった。 R:「They've vanished. Where are they? 奴ら消えちまったな。どこへ言ったんだろう。」壁に張りついて奥に進みながら レイがひそひそ声でつぶやく。 F:「I wouldn't hazard a guess. わからない。」 フレイザーはダンボール箱を丹念に観察しながら答えた。 箱にはfurと書いてあるので商品の毛皮だと簡単に想像はついた。そしてレイがそっとダンボールの一つの中身を開けようとしたそのときである。 ガッチャとドアの開く音がして倉庫の奥から男たちが出てきたのである。 F:「Oh dear.やばいっ」フレイザー達はとっさに身をかがめた。 だが、だんだん彼らの足音が近づいてくる。 (somewhere to hide…どこか隠れるところはないだろうか…)そう思ったフレイザーは辺りを見回した。 背後には戸のようなものがある。多分掃除道具かなんかを入れるクロゼットだろう。フレイザーは取っ手に手をかけ素早く引いた。見ると少しだが人が入れそうなスペースがある。フレイザーはレイと佐都子にhearという口の形をして中へ入るように導いた。 クロゼットの中に足早に駆け込むと3人は息を潜めた。座布団一枚ほどのスペースに180cmの男性2人と狼一匹は狭すぎる。真っ暗闇の中で佐都子は押しつぶされそうだった。頭の上からレイの熱い息がかかり目の前にはフレイザーの鼓動が聞こえんばかりの制服…この状態にめまいがしそうだった。 一秒でも早く、足音がクロゼットの前を通り過ぎないかと佐都子は祈った…・しかし、(もう限界だわ…) とうとう耐え切れなくなって向きを変えようと足を動かしてしまった。 と、その瞬間。「ワン!」と足元の狼が吠えた。 佐都子はディーフの足を踏んだのである。 足音が止まり男がもう一人の男に話し掛けた。 「何か声がしなかったか?」 R:「Why were you moving?オイっ何で動くんだよ!」レイが息を殺し佐都子に反応する。 F:「Ray no word レイ 静かに…・」フレイザーがレイの服のすそをひっぱった。 男の足音がだんだん近づいてくる。やがてクロゼットの前で止まった。 (あーもうだめかも…)三人は息を飲んだ。 F:「squeak チューチュー」 フレイザーが咄嗟にネズミの物真似をする。 それはまるでホンモノのネズミのような見事な擬声であった。 「なんだネズミか…・。」 男はそう静かに言う放つとまた出口の方に遠ざかっていった。 しばらくするとシャターが閉まる音がして、車のエンジンがかかる。 タイヤを滑らせる音がやがてして、小さくなって消えてしまった。 倉庫内はひっそりと静かな空気に包まれた。 R:「They've gone. 奴ら出て行ったようだな。」 確信した3人はまるで吐き出されるかのようにクロゼットから出た。 R:「Oh great はーまいった。まいった。」レイが額の汗をぬぐう。 R:「Still,You are good at mimicking a mouse.それにしてもおまえ、ネズミの物真似がうまいな。」 F:「I've ever attended a prize that was awarded for the best impression of the mating call of a mouse.あーネズミの物真似コンテストに出たことがあるからね。」 R:「you won?優勝しただろ。」 F:「Yes. ああ。」 3人はまたダンボールの中を調べ始めた。 ディーフが下の方にあるダンボールの臭いをクンクン嗅いでいる。何か見つけたようだ。 レイとフレイザーは駆け寄ってダンボールをゆっくりと取り出し、中を確認した。 「Are not these ordinary furs? Your wolf, Not only he is deaf, his nose doesn't work. なんだ全部、ただの毛皮じゃねえか。おまえの狼、耳が聞こえないだけでなく鼻もダメだな。」 「Wait a minute, Ray. Take a look! ちょっと、まってくれレイ…これは…・」 フレイザーが箱についたホコリを指でぬぐうとペロっと舐めた。 「あーまたぁ〜。」 レイと佐都子がまた身を引いてよける。 ***** つづく (2003.5.18) Back さーフレイザーは一体何を見つけたのでしょうか・・・ 続きはまた来週 (^.^)/~~~ |