Juliet is Bleeding 「永遠の別れ」第31話 (writer: Kathy Slevin, Jeff King )

 このエピの見所はずばり 「ご馳走をどさくさに紛れて食べるディーフ」でしょう。(笑) ディーフィー、抜け目がありません。
では、ディーフは置いといて・・このエピは涙なくしては見ることができないとても悲しいお話です。レイの愛する二人の死、フレイザーとの友情の危機・・・。
宿敵ズーコとの運命の決着がこんな結末になろうとは・・・・。ハッジスの妹さんKathy Slecinが描く最高傑作です。

Episode Guide

 昇給したレイの驕りでリトルイタリーのレストランにレイ、フレイザー、ガルディーノ、ヒューイが出かけた。するとそこでは街のマフィアのボスであるズーコの誕生日パーティーが開かれていた。ズーコとレイは幼い頃からの犬猿の仲、そしてズーコの妹アイリーンはレイの昔の恋人だった。レストランでハジキにされたレイはアイリーンとのダンスをズーコに見せつけ、それがきっかけで乱闘になる。その後、レイの車に爆弾が仕掛けられガルディーノが爆死する。仲間を殺された刑事たちは頭に血が上り犯人はズーコと決めつける。しかしフレイザーは証拠品やアリバイなどから冷静に判断し真犯人をつきとめようとする。釈放されたズーコは自分を罠にはめた部下マイケルソレントを家に呼び出した。アイリーンの身を案じて張り込み捜査をしていたレイが家に突進したとき悲劇は起ってしまった。                                → クリックすると大きくなります

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このエピの題名は1993 年の映画 "Romeo is Bleeding”から来たようです。またシェークスピアの名作ロミオとジュリエットに内容が似ています。
レイとアイリーンはズーコとレイが仲が悪いため愛が実りませんでした。またレイはロミオのように蔦のからまる壁を登っていましたね。
そしてズーコとレイ、お互い一番愛するもの(アイリーンーン)を失ってからようやくその対立の終結を迎えることなど・・・。

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Character Sketch

ディーフェンベーカー
*ヒューイ達と一緒に座るぐらいだったらフレイザーと助手席に座ったほうがいい。 
冒頭のシーンにご注目。ディーフとフレイザーは仲良く助手席に座っています。ヒューイに嫌われたのかそれとも怖かったの?
*この日は食事を抜いて楽しみにしていた。       レイの昇給に貢献していると思っている。 fic
*フレイザーが乱闘中でもお構いなしでディナーを満喫。どさくさに紛れてしっかり席をキープしています。→
*ディーフ、真犯人に即反応。チャリーとは仲良くしていましたがマイケルには唸っていました。

☆フレイザー
*ズーコに殴られたことは忘れたフリをしている     人を恨まない、ことを荒立てないように努力するフレイザーです。
*高級レストランのメニューを見て気を使う。       驕りだからといってガルディーノたちがジャンジャン頼もうとするのに対して奥ゆかしいです。
*赤の制服:葬儀では紐なしの礼装をしています  
*人を観察するのが好き 今回の彼の観察力は剃刀のようにさえていましたね。冷静に爆弾の線を分析するシーンが知的!

☆レイ
昇給したお給料は35580ドル    これであのベッキオ一家8人を養えるのだろうか・・・・・(^_^;)
*ズーコとはシーズン1 Deal 「復讐のときは今だ」で因縁の対決をしている 
あのときはレイが圧勝しました。
*アイリーンは昔の恋人だった 
アイリーンにダンスをリードしてもらった。アイリーンの子供とは仲が良かった。

☆ヒューイ
金歯がとれた    (笑)


Quote

 気になるシーンの引用です。     (今回はたくさん)

Ray: Ah what the heck, I'm going to go shake his peaches.

Fraser: Shake his peaches?

Louis: Yeah the part where we break chairs over their heads.

Shake his peachesあいつをめちゃくちゃにしてやる!という意味です。peachはちょっと大人向けの意味があるので触れません(汗)がこのアメリカンイディオムを上品なフレイザーが知らないというのも彼らしいです。(^_^;) レイVファンの間で彼のことをピーチと呼んでいるのはこのセリフから来ています。ちなみにこのセリフはデビッド・マルシアーノのアドリブです。
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Ray:Would you like to dance?

Irene:
With you?

Ray:
No with the man in the moon.


レストランでレイがアイリーンをダンスに誘うシーン

レイ  「ええい!くそぉ! もう我慢できねえ!」
フレイザー 「彼は何をする気だい?」
ルイス  「フランクに直接ねじこんでカタをつけるつもりだ。」

レイのテーブルは悲惨でしたね。ダンボールは置いてあるし椅子は積み重なっていました。途中映る、マイケルソレントとズーコシーンにご注目。マイケルが葉巻をあの道具でカットしています。


レイ  「一曲お願いします。」
アイリーン「踊るの?」

レイ  「下手でよければ。」

原語の with man in the moon ってロマンチックじゃありません?(*^_^*)
レイとアイリーンのダンスもステキです。
キャリーアンモスはオーラを感じる美しさがありますね。
ちなみにズーコのママは車椅子に座っています。



Irene: Go to see 'la Nonna' Please.

Frank: Resta qui.
.
Ray:Get the computers.

原語だとココ イレーンとズーコがイタリア語を喋っています。おお!かっこいいよっ!!さすがイタリアンマフィア一家!ちなみに 
la Nonnaはおばあちゃんという意味です。 Resta qui は「そこにいろ。」

警察がズーコ家を宅捜査 子供たちが階段上に現れるシーン

アイリーン  (子供たちに向かって)「ニラを見てきてお願いね。」

ズーコ  「二階にいろ。」
レイ  「パソコンもだ。」

ズーコ家は高級品揃いですね。調度品の良さも目の保養になります。

窓もステンドグラスだわ〜。



Ray: All right maybe someone planted those detonators and maybe they didn't. All I know is we've got a dead cop, a friend and we got the guy who did it. Do you follow me?

フレイザーって妙に冷静ですよね。同情的になれないところが人と距離を置いてしまう原因かなとも思ってしまいました。

このズーコ逮捕のシーン、天候が急変です。いきなり雪景色・・・。


ズーコを逮捕した後 レイとフレイザーの会話

レイ      「いいか。誰が仕掛けたのはどうでもいいんだ。些細なことだ。大事なことはダチの刑事が殺されてその犯人を捕まえたってことよ!」

レイザー 「あ・・・よくわかった。」(しょんぼり〜)

あーレイ!フレイザーちゃんをいじめないでください。彼、真実をつきとめようと必死なんです。あまりにも強い口調でレイに責められたのでフレイザーは思わず涙目してしまいました。目をギュっと瞑って涙が落ちるのをこらえていました。(ToT)

Fraser: What I would like for Mr. Zuko and what the law dictates are two different things and right now that difference is the only thing that's keeping him alive.

ズーコ氏をふさわしい場所に送りたいという気持ちと法が定めていることとは別のことです。よってその違いが彼を生かし続けているんです。

以前The Dealで靴職人パドゥーチを追い詰めながらも証拠がないために捕まらないズーコ氏のことを言っているのかもしれません。フレイザーはズーコを捕まえたくてしょうがないという気持ちが出ているようなセリフです。

Charlie: You're renewing my faith.

***

Charlie: To bring Frank down. Find me somebody who doesn't have one. He's not like his father.
Fraser:
Very few of us are.
フレイザーとチャーリー コーヒーショップでの会話

フレイザー  「ズーコ氏をふさわしい場所に送りたい気持ちと法に従うこととは別の問題です。そこをわきまえないと警官ではない。」
チャーリー 「なるほど・・・本物だ。」


このコーヒーショップはマイケルたちが番組最初に襲ったレストランです。従業員が鏡の位置を直しています。フレイザーとチャーリーはドミノをしながら会話をしています。ハラペコディーフはビスコッティのことしか頭にないようですね。(笑)



***


チャーリー 「フランクを潰すことだ。そう願っている奴は五万といる。彼は親父さんと違う。」
フレイザー 「ええ。わかります。」
直訳: 「私たちのほとんどは父親と違います。」

フレイザーが少し遠い目をします。きっとフレイザーパパのことを思っているのでしょうね。パパにまだかなわないと思っているベントン君です。


Irene: What did you come for then?

Ray: I came for you. I love you. I've always loved you.

Irene: This is never going to end, this is never going to end you're going to end up killing each other first.
I didn't say that.
レイは次の日も同じ制服です。どうもアイリーンの所へ泊まって一夜を明かしたようですね。

ズーコの家 忍び込んだレイとアイリーンの会話

アイリーン「じゃあ何しに来たの?」
レイ  「君に会いにだ。
愛しているよ。ずっと愛してきた。
アイリーン「やめてどうしようもないわ。兄かあなたかどちらかが死ぬまで終わりはないんだから・・・」

ロマンチックだわよっレイ!あー一度でいいからレイに言われてみたいわぁこんなセリフ。だ、だけど・・・ちょっと待てよ。アンジーと結婚していたんじゃなかったの?レイ?これじゃあ結婚が破局するのも無理ないよ・・・・。 

Fraser: Ray, listen to me, you are not thinking and a police officer who doesn't think is dangerous.

Ray: I know where you stand.

Fraser: No you don't. You are so full of hate, all you can see is Zuko. That's all you've been able to see right from the beginning. But do you hate him enough to let the real killer walk free as a consequence?
Ray: Let go of me.

Fraser: Ray please. Do you honestly believe by jailing him, you won't have to feel guilty any more?
寒そうー。二人の白い息がかかりまくっているよ。嫌われもののフレイザーちゃんは気を使ってきっとバンの外にいたのでしょうね。そしてレイを見守っていました。

RayAll right. I'm going in after her you call for back up.
結局、レイはフレイザーの助言は聞き入れずアイリーンを第一に考え彼女の元へ走ってしまいます。


Irene: I can handle him Ray.
Ray: That's what that cut on your face says. Let's go.
原語:顔の傷がそう言っているぜ。

ズーコの家に突撃しようとするレイを引き止めるフレイザー

フレイザー「レイ、聞いてくれ。君はのぼせている。理性の働いていない警官は危険だ。」

↑ それって、アンタのことよ、フレイザー・・・ヴィッキーと過去に・・・(ブツブツ)
レイ  「おまえにわかるか

フレイザー「いやよくわかっている。君の心の中はズーコへの憎しみで一杯だ。ズーコ以外は何も見えなくなっている。そのために真犯人に逃げられてもいいのか。」
レイ  「離してくれ

フレイザー「レイ、落ち着け。彼を檻にぶちこむことでガルディーノへの罪悪感が消えるとも思うのか。

← このフレイザーのセリフは残酷極まりないです。(ToT)レイが一番気にしている心の傷にズバリ切り込んできました。あまりにもヒドイセリフですが、レイはのぼせていたのでフレイザーも泣く泣く言ったのかもしれませんが・・・聞いているだけでグサリときます

レイ 「ようし、踏む込むぞ、応援を呼べ。」
原語:「俺は彼女の面倒を見てくる。お前らは応援を呼んでくれ」・・・

でいいのでしょうか?
ちょっとafterの訳がわかりません・・・。
このセリフの後映るフレイザーの顔が心配そうでした。

アイリーン 「自分で始末はつけるわ。」
レイ    「顔にそう書いてある。いいから行こう。」

レイはズーコに殴られたアイリーンの傷を見てそう言ったのでした。


Ray: You know the first time I ever danced with her was in PE class. She kept trying to lead. I finally had to ask her to relax, that it would be Okay, just put your head on my shoulder and close your eyes. Everything's going to be okay. 

ここすごく皮肉なんです。結果的に全然everything OKじゃないんです。

病院にて

レイ  「
思い出す。彼女をはじめてダンスを申し込んだことだ。彼女がリードしてな。根をあげた俺はこう言った。気楽に行こうぜ。頭を俺の肩に乗せ、目を閉じな。それで全てうまくいく。」


救急車に運ばれる前のアイリーンがレイの肩に頭を乗せた状態でした。そしてこのセリフのようにレイが"Close you eyes"と言っていました。 アイリーンの死によって結果的にズーコとレイの中が収まった、つまり、Everything's going to be okayになったとは・・。

Trivia

ズーコって誰?
シーズン1 「The Deal 復讐のときは今だ」 のエピで出てきたこの街をしきっている冷酷マフィアのドンです。レイとは幼馴染で、昔からレイとズーコは犬猿の仲でした。
The Dealではフレイザーがズーコの手下にボコボコに殴られました。そのためレイは過去の恨みもあってズーコへの戒めのために対決し殴り勝ちしたのです。この場面をズーコのお抱え相談役チャーリーは密かに見ていました。

乱闘シーンでのアイリーンの口パクは?
レストランで乱闘が始まったとき、アイリーンがレイに向かって何かを言っていますね。口の形から見ると"Leave""Idiot"と言っているようです。

ガルディーノ刑事の葬儀シーン Music

FULL CIRCLE by Loreena McKennitt 心にしみる鎮魂歌です。Loreena McKennittの曲はChinatownのエピでもせつないシーンで流れていました。

ガルディーノ刑事の葬儀の前 イレーンがコーヒーをレイに入れるシーン
エピでは音楽が流れていて聞くことはできませんでしたが、台本では 「 It's not your fault. You didn't put the bomb under the car.あなたのせいじゃないわ。あなたが車に爆弾を置いたんじゃないんですもの。」と言っています。ここのレイの表情が余計涙を誘います。

葉巻は高い!
約一本1000円ぐらい。高いものは2000円以上もします。一箱だと10000円から200000円以上。
きっとズーコ氏愛用は高級ですからメチャ高かかったでしょうね。煙草屋さんでフレイザーが全部お札をとられてしまったシーンが笑えました。

ガルディーノ刑事が殉死したその理由は
ガルディーノ役のダニエル・カッシュはDSでの契約が丁度このエピ頃までだったのです。彼はハリウッドに行く予定でした。よってプロデューサーの Kathy Sleviは彼を殉死させることを決めたそうです。(コンパニオンブックより)

なんか似ている・・・
フレイザーがズーコへの取調室に葉巻を持って入るシーンの前にシカゴ27分署前の景色が映ります。そこに・・・・燃えたはずの緑色のビュイックリビエラとそっくりの車が置いてあるんです。

pig's in a blanketってどんな料理?
ルイスが殺されてしまう直前、レイに「蒸し豚を頼んでおいて」と言いますよね。フレイザーも真似をして「僕も蒸し豚。」と言います。これ原語ではPig's in a blanketと言っていて、アメリカで見られる肉をご飯とかキャベツその他で巻いた料理を指すそうです。ロールキャベツトマトソース煮とかがそうです。またホットドッグも時々Pig's in a blanketと呼ぶそうです。      


とっても勝手な感想

悲しいながら見ごたえのある素晴らしいエピだったと思います。

特に見るのが辛いのが葬儀のシーンです。魂にしみこむ歌声にいつも明るかったガルディーノ刑事が重なり涙がこぼれました。やり場の無い悲しみに茫然となるヒューイ、レイ、そしてフレイザーの顔には後悔の念が見えています。「何故あのときもっと大きな声でルイス!と声をかけなかったのかと・・・」

ガルディーノの死でレイ、ヒューイたちがズーコへの怒りを燃やす中冷静に真実を追究しようとするフレイザーを最初は冷たく感じました。しかし、今回見直してフレイザーも心から友人の死を悼み、殺した犯人が許せない、だからなんとか真犯人をつきとめたいというのがレストランでのチャーリーとの会話で伝わってきました。フレイザーも非道なズーコを許すことができない、でも友人を殺した犯人はもっと許せなかったんです。それなのにレイや27分署のみんなにはわかってもらえずどんどん孤立していく彼を見ているのがとても辛かったです。

突撃のシーンでレイへ助言するフレイザーはまるでビクトリアとの経験から話しているようでした。でも結局レイはフレイザーの助言を聞きませんでした。フレイザーも最終的にはレイを止めるのを諦めレイに行かせたのです。VSで自分がビッキーのところへ走ったように彼に後悔ないようにさせたのでしょうか。

しかし再会して燃え上がった禁断の恋にのめり込むレイもロマンチックでステキでした。エピ全体を通してどんなにアイリーンを大切に思っていたかというのが伝わってきました。なのに・・・・あの最後。よろめくレイにのしかかるような悲しみを見ました。そのレイに何も言わずただ側にいるフレイザー。いつもきっちり制服を着ているフレイザーが服装を整えるのも忘れて乱れたままでレイに付き添う姿は心底彼を心配していたようです。あのときレイに一番必要だったのはフレイザーだったんですよね。


こんな悲痛なエピの中でディーフだけは癒しでした。相変わらず食べてばかりですが、孤立していくフレイザーにとって力強い支えだったのではないでしょうか。いつも以上にフレイザーはディーフとだけ一緒に行動していたような気がします。

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