初期の台本は本編と少し違っている箇所がありました。それを少し抜粋したいと思います。
(フレイザーの名前が ベントン・プレスコットだったのですが、ここではフレイザーと書きます。)

【シカゴ一日目、レイと初めて会った日、27分署を出てからのシーンより】

フレイザーはリュックサックを背負ってモダンで殺風景なホテルの部屋に入って行った。
フレイザーは部屋の大きな窓から眼下に広がるシカゴの景色を見た。都市のネオンがキラキラと光っている。
フレイザーはベッドに横になり寝ようとした。彼は大きく息を吸い込もうとしたが息苦しい。
起き上がって窓を開けようとしたが窓は全く開かない。
仕方がないのでエアコンをつけた。
彼は横になりながらよどんだ空気が流れ込んでくるのを感じた。それでも寝付かれず彼はベッドから這い出して大きく深呼吸をすると空を眺めた。
そしてまたベッドに入った。何度か寝返りを打つと何かポロっと胸ポケットから出てきた。それはしわくちゃの写真だった。彼の父の若かりし時のものである。
彼は写真に向かって囁いた。「父さん、きっと僕が犯人を捕まえる。僕に任しておいて・・・」
彼は写真をしまうと瞳を閉じた。


大都会でひとりぽっちのフレイザーの不安な夜が描かれています

***

【酒場での大乱闘の後、署から領事館に戻ったシーン】

フレイザーは領事館に帰った。自分のオフィスに入っていくと、机の上はクリーニングの山。
それを見てフレイザーはため息をつく。
(本編では封筒の切手貼りの仕事でした)
フレイザーは急いでクリーニング屋に持って行きました。

しばらくしてクリーニング屋から戻ってきてモファット女史(本編では男性上司でした)に頼まれたクリーニングの衣類を差し出します。

モファット「遅かったわね」
フレイザー「クリーニング屋でちょっとした事件がありまして」
モファット「あなたは言い訳をするタイプではないと思ったけど」
フレイザー「はいそうです。どうもすみませんでした。もっと私が煙に早く気がついていれば」
モファット「煙ですって?」
フレイザー「プレスマシーンがショ-トして火事になったのです。それで一面炎の海でやっとこれを取り出しました」
モファット「あなた燃えているビルにセーターを取りに行くために飛び込んだの?ばかげているわ」

これって、シーズン2の「目撃者の証言」の最初とほとんど同じですね。

***
領事館の鍵を閉めて出た後のシーン

(本編ではダイナーでフレイザーはパパの日記を読んでいました)
夜のミシガン湖。フレイザーは湖の氷に穴を開けて釣りをし始めます。
それを二人のホームレスが眺めていました。
釣り糸を垂れながら、ポケットからパパの日記を取り出して読み出します。
すると後ろから足音が聞こえてきました。
振り向くとそれはレイでした。

レイ「この街でお前を探すのがどんなに簡単か知っているか?俺は『「何か変った事をしているいる奴を見なかったか?』って街中の人に聞いたさ。そうしたらみんな言うんだお前がここだって。
(釣りをしているのを見て)お前なー・・・どんなにここの水が汚いか知ってんのか?」
フレイザー「君は41件事件を解決したの?」


レイ、フレイザーを探すために街中の人に聞いたというのがいいです。それにしてもフレイザー夜空で釣りをしていたとは。どうして本編はダイナーになったのかなぁ。ロケが辛かった???

***

レイがフレイザーを家に招いてご馳走をするシーン】

お皿に載ったブリートの食べ方がわからなくて困惑しているフレイザーにレイママが
「ベニー。恥ずかしがることはないのよ。手をお使いなさい」と言っています。
(ベニーと最初に呼んだのはママでした。)
そしてケンカしている家族のためにフレイザーがトルティージャ(本編ではポレンタ)を取りに行くんですがトルティージャを知らなくてレイに聞いたりしています。

そうなんです・・・・レイ、最初はメキシコ系アメリカ人だったんです。名前もレイ・ヘレナンデス。なのに何でイタリア系になったのかなぁ。デビッド・マルシアーノに合わせたのかしら?




***

ドレイクのアパートを訪れた二人、レイは瀕死の重傷を負ってしまいます。
【その後の病院のシーン】
本編ではフレイザーはレイを一度見舞っただけで、次のガレージのシーンに移るんですが・・・初期の台本では、フレイザーが一晩レイの側についていました。そして夜明け前にレイが薄っすら目を覚まします。

レイ「(うつらうつらしながら)電話が無かった・・・・・。」
フレイザー「なんだって?」
レイ「ドレイクのアパートさ・・・彼は電話を持っていなかった。電話線のジャックは剥がされていた。」
フレイザー「それを言いたかったのかい?」

レイはまた眠りに陥る。

 ※ 画像はpipsqueakyさんのサイトからお借りしました

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