「おとり捜査も楽じゃない」の最後の続きから
フレイザーとレイは車が無いレニーのためにピザの宅配を手伝ってあげている。2件まわらなくてはいけないのだが、最初の一件目でもう既に約束の30分経過・・・・。
レイ : 「あった!このアパートの三階だ。やべぇー33分もかかっちまった。」
フレイザー ::「とにかく届けにいこう。誠意を見せればわかってくれるかもしれない。」
レイ :「フレイザー、ここはシカゴだぞ。何回言ったらわかるんだ。そんな甘か
ねーよ。」
レイとフレイザーボロアパートの3階1号室に届けに行く。” ドンドンドン ” レイが先に前に出てドアをノックする。
レイ : 「あの SATOさんですか。遅れてすみません。 ご注文のピザです。」
ゆっくり戸の開く音。中からはサッカー中継の音が聞こえる。そして不満に満ち溢れたMs.SATOが腕を組みながら出てくる。
Ms. SATO :「ちょっと、遅いじゃないあんた。何分かかかってんのよ。」
サッカーあんたのせいで負けちゃったわよ。」
レイ : 「それとピザとどういう関係があるんですか…。」
Ms SATO : 「とにかく時間どおりに届かなかったんだからタダにしてちょうだい.。」
レイ : 「たった3分遅れただけじゃないですか。家がわからなかっただけです。」
Ms SATO : 「がたがた言ってんじゃないよ。さっさとピザ置いてきな!」
Ms.SATO怒りをあらわにし、声のトーンもあらい。そこへフレイザーが後ろから出てきて顔を出し、レイに小声でこうつぶやく。
フレイザー :「規則なんだ、しょうがない。」
そしておもむろにゆっくりレイの隣に立ち、帽子をとり誠実な表情をする。2、3秒、間をおいてMs.SATOの目をじっと見ながらこう言う・・・・。
フレイザー :「大変申し訳ありませんでした。まず、あなたに冷めたピザをお届けしてしまったことを謝らせてください。せっかく楽しみにしていらしたのに。」
フレイザー、ブルーの輝いた瞳でMs SATO を見つめ続ける。
MS SATO :「…・」
カッキーン☆☆☆ 見とれて声が出ない。
フレイザー :「では、お約束どおり無料にさせていただき、私たちはこれで失礼します。」
Ms.SATO、振り向こうとするフレイザーの袖をつかむ。
MS SATO :「ま 待って、し、しょうがないわ。家が見つかんなかったんだから。今度だけよ。」
Ms.SATO $30をフレイザーに手渡す。
フレイザー 「ご理解に感謝します。あ、おつりですね。はい これ」
きびきびした動作で帽子の中からお札を取り出す。Ms.SATO渡されたお札を不思議そうに見る。
MS SATO: 「あのーお札ピンクなんだけど。」
フレイザー :「レイ?」
フレイザー、首を傾け目くばせをする。
レイ :「なんで俺がおつり払うんだよ。…。」
いやいやながらズボンの後ろポケットのサイフからおつりを取り出す。
Ms SATO :「あのぉー、ねぇ、良かったら一緒にピザ食べていかない?」
Ms.SATO,たじろぎながらフレイザーを見上げる。
フレイザー :「ご好意は大変嬉しいのですが、まだ配達があるんです。またの機会にご一緒させてください。では 失礼。」
フレイザーとレイ足早にアパートを去る。MsSATOフレイザーの後ろ姿にくぎつけになり立ち尽くす。
部屋からは「ゴーーーール」とテレビのアナウンサーの声。
二人アパートから出てくる。
車の中で待っているレニーが心配そうにアパートから出て来た二人を見る。
レニー :「どうだった。?」
レイ :「よく、わかんねーけど払ってくれたよ。」
レニー :「???」
フレイザー: 「さあ、次へ急ごう、もう一件ピザを届けに行かなければならないんだろ。」
レイ : 「おっ、そうだった。」
レイの車の中 100mぐらい走った後
フレイザー :「なんかこの車チーズの匂いが強くないかい?特にスイス、フルブール産固形分中乳脂肪分45%のリュエルチーズの臭いがする。」
レイ : 「あたりめーだよ。ピザ運んでるんだから.。」
突然レニーの叫び声
レニー : 「ぎゃあああああああ!」
フレイザー: 「何をやっているんだディーフ!」
レイ : 「おいおい 大変だー
狼がピザ食っちまったよ!」
THE END
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